練習効率を高める 
いかに科学的に有効性が確認されている練習を実施しても、その練習を、正しく理解し、正しい姿勢で実施しなければ、その練習効率は著しく低下する。

例えば、スプリントを5本やるのと、10本やるのでは、一見すると10本やる方が高い効果を期待出来そうに感じる。しかし、5本を100%の力で行なうのと、10本を中途半端に実施するとでは、どちらが効果的だろうか。

とかく、練習については「量」さえ増やせば、それだけ疲労するので、さも効果的な練習が出来たように感じがちである。そのため、練習の「質」を忘れ、「量」ばかりを増やしてしまう傾向がある。

自転車でよく見られる例としては、「沢山の距離を走っていれば良い」と考え、負荷や精度を無視し、ただ月間走行距離を増やすことを目的にしたり、「沢山の山を登れば登坂力がつく」と考え、その負荷や精度を考えず、上り坂ばかりを大量に登るケースである。

もちろん、量を増やせば、その分一定の効果が上がるだろうが、同じ量を行なうのであれば、「質」も高ければ、更に効果的とは思わないだろうか。

そして、人が一日にこなせる練習にはさすがに限界があるし、それこそ時間が限られている人は、その中でやりくりするしかない。そこを、効率の悪い、時間ばかり掛かる練習を大量に放り込んでは成績は伸びない。

限られた時間で、限られた練習を、最大限の効果があるように実践していく。せっかく苦しい思いをして練習するのだから、効果がしっかり出なければ努力が勿体無い。

改めて、練習の「質」を意識する。

  練習の内容をよく理解する

例えばスプリントの場合、全力の運動によって、素早く筋肉を縮め、それによって生まれるパワーを高める事が目的であるから、そのような運動が出来ているかを理解しながら実行しないと、意味はない。ただ「ダッシュを5本やってみた」では精度が低い。

  練習は手段。目的ではない

例えばスプリントを10本行なう場合、10本行なう事を目的にしてしまいがちであるが、前述のように、筋肉を収縮させるのが目的であるから、それが達成されなければ20本やっても意味が無い。特に、10本中の7本目などは、ただ走るだけになりがちである。何故その練習をするのか、するとどんな効果があるのか、効果がある為にはどんなやり方が必要なのか、練習によって何を得るのかを常に意識する。練習を目的にしてはいなけない。

  自己評価をする

練習をこのように実行すると良いと分かっていも、思ったように練習出来るとは限らない。今行なった練習の精度がどうであったか、どうすれば改善するか、自己評価を行い、次の練習精度を高める。

  休養を挟む

これまでの既述と重複するが、高負荷の練習は短時間しか持たない為、休養が事実上のセットである。いかに休養を適切に挟んでいくか、注意をする。上手な練習スケジュールは、上手な強度のバランスと休養による、練習精度の確保に尽きる。

  栄養を摂る

栄養学に詳細を記すが、体を酷使した場合、その回復、増強には、材料となる栄養が必要である。せっかく増強する為にトレーニングをしたのだから、増強に必要な材料をしっかりと用意しておく。